>>かおりちゃんの信行日記


第5回 どうして冬は御綿なの?の巻

かおりちゃんは、今日はお家でお友達の朋美ちゃんと一緒に遊んでいます。
「あれ?かおりちゃんの所の仏様、前に来たときは頭に白い物、被ってなかったよね」
朋美ちゃんは御祖師様を見て言いました。
「え?御祖師様のこと?あれは『御綿』って言って、11月になったら毎年させてもらってるんだよ」
「ふーん、着せ替え人形みたいだね」
「着せ替え人形じゃないよ。ふごく大切な意味があってさせてもらってるんだよ」
かおりちゃんは、大切だということはわかっているんですが、ちゃんと朋美ちゃんに説明できません。『御綿は11月になるとさせていただくもの』というのは知っていたのですが、何故させていただいているのか等、詳しいことは知りませんでした。

朋美ちゃんが帰った後、かおりちゃんはすぐにおばあちゃんの所に飛んでいきました。
「ねぇ、おばあちゃん。どうして11月になると御祖師様に御綿を被せるの?」
おばあちゃんはかおりちゃんのいきなりの質問にちょっとビックリしましたが、嬉しそうにニッコリと笑ってからお話をしてくれました。

「昔、御祖師様が法華経を日本中に弘められていた時、色んな人がそれを邪魔しようとしたんだよ。邪魔をするだけならましな方で、御祖師様は命を狙われたりしたこともあったんだよ。
その中に『小松原の法難』という事件があって、日蓮聖人はその時、眉間に傷を負われたんだよ。その時、そこを通りかかったおばあさんが綿頭巾を御祖師様にご供養されたというお話から、眉間の傷が冬の寒さで痛まないように、11月になると御綿をおかけするんだよ」

「御祖師様の傷が痛むの?」

かおりちゃんは御祖師様のお顔を見ました。傷が痛むときはどういうお顔をされるんだろうと思ったのです。

「かおりちゃんは、夏に冬の服を着たり、冬に夏の服を着なさいと言われたらどうする?」

「暑いし、寒いし、嫌になっちゃう」

「御祖師様にもね、『お襟』という白い布を夏用と冬用にちゃんと分けて、替えさせていただいてるんだよ」

「へー。『お襟』ってあの首もとの白い布のこと?」
おばあちゃんは優しく微笑みながら頷きます。

「あのお襟も、婦人会の方が毎年、ご信者様のお宅の御祖師様のサイズに合わせたお襟を、専用の布、専用のはさみ、専用のミシンで1枚1枚手作りしてくださってるんだよ」

「みんなのお家の分を手作り!?毎年!?」

「御綿もそうだよ。それぞれのお宅の御祖師様のサイズに合わせて、毎年1つ1つ手作りしてくださってるんだよ」

「へ〜、すごいんだねぇ」

「直接、御祖師様に身につけていただく物だから、失礼なことがあってはいけないと、作る前と作った後にお寺の御宝前様に御供えして、御看経させていただいて、それから各家庭に配られるんだよ」

「うわ〜、すごく時間と手間がかかってるんだ」

「『生きてまします御尊像』といって、御祖師様や御宝前様が生きていらっしゃると思ってお給仕させていただくのが大切なんだよ」

「生きてまします御尊像?」

「そうだよ。御祖師様が生きてらっしゃると思えるような、不思議なお話はたくさんあるからねぇ」
おばあちゃんはちょっと思い出すような顔をしてから話し出しました。

「例えば、それぞれのお家によって御祖師様のお顔は違うし、御祖師様の目線もちょうどそのお家で御看経をさせていただくときに私達と目が合うようになっているのよ」

「それは、御祖師様がそのお家用に作られたからじゃないの?」

おばあちゃんはゆっくりと首を横に振ります。

「御祖師様に関してはそうじゃないのよ。不思議なんだけど、同じ人が同じように作っていても、御祖師様をお家にお招きするときには、そのお家の人の顔に似てくるし、目線も変わってくるのよねぇ」

「へぇ〜、すごいんだぁ!」

かおりちゃんは鳥肌が立ちました。怖いとか、そういう気持ちではなくて、その不思議さに感動したのです。

「もっともっと不思議な話はたくさんあるんだけど……」

「えっ、教えて教えて!」

「それはこれから、かおりちゃんがご奉公を一生懸命頑張って、その不思議な有り難いことを、自分で見させていただきなさいね」
そう言っておばあちゃんはニッコリと笑いました。

<<前へ  :  表紙  :  次へ>>