第14回 お墓と彼岸とご回向との巻
「ねぇ、おばあちゃん。どうしてお彼岸の時じゃないとお墓に行っちゃいけないの?」
「へぇ?誰がそんなことを言ったの?」
かおりちゃんのいきなりの質問に、おばあちゃんは目を丸くしています。
「ともみちゃんの家は、毎年お彼岸時にお墓参りに行くんだけど、車が混んでてしんどいのに絶対に行くんだって。それならお彼岸以外の空いてる時に行けばいいのにって言ったら、それはダメだって言われたんだって」
おばあちゃんはかおりちゃんのお話をうんうんと頷きながら聞いています。
「だからね、お彼岸の時じゃないとお墓に行っちゃいけないんだって思ったの」
「ともみちゃんのおうちはそうかも知れないけど、うちはそうじゃないよ」
おばあちゃんはにっこりと笑いながら言いました。
「お彼岸というと、みんなこの時とばかりにお墓参りしたり、お寺さんにお参りに来てもらったりするだろ。それは何故かと言うと『お彼岸にはご先祖様のご回向をしないといけない』という考えがあるからなんだね」
今度はかおりちゃんがうんうんと頷きながら聞いています。
「でもね、佛立宗はそうじゃないんだよ」
「えっ、どうして違うの?」
「佛立宗は【常盆常彼岸(じょうぼんじょうひがん)】といって『毎日がお彼岸やお盆であるかのように、ご先祖様のご回向をさせてもらいましょう』って教えなんだよ」
「毎日がお彼岸やお盆?」
「そう。お彼岸の時だけとかじゃなくて、毎日『ありがとうございます』と、ご先祖様に感謝の気持ちを込めて御看経をさせていただくことが大切なのよ」
「そっか。御看経だったらおうちでも出来るから大丈夫だね」
「かおり、それは大きな間違いだよ」
「うそー、どこが間違ってるの?」
「おうちでの御看経も大切だけど、お寺にお参りして沢山の人と御看経をさせていただくことが大切なんだよ。毎月ある月始総講や、御修行や、その他のお参りには、ともみちゃんのおうちや世間で解釈されているお盆やお彼岸のように、必ずお参りさせてもらわないといけないんだよ」
「ふーん。ともみちゃんのおうちと私のおうちじゃお彼岸の意味が違うんだね」
「そうだね。でも毎日しているからといって、お彼岸やお盆の時にいつもと同じようにしていたらダメなんだよ。お彼岸やお盆だからこそ、いつもより感謝の気持ちを込めて、お寺にお参りさせてもらうことが大切なんだからね」
「うん、わかった!かおり、今度のお彼岸に、絶対にお参りするからね!」