>>かおりちゃんの信行日記

第20回 御法門はなぜ大事の巻

夏になり夏期参詣が始まりました。
かおりちゃんも学校が夏休みになったので朝参詣を頑張っています。
とはいえ、やっぱり早起きが苦手なかおりちゃん。御看経中に何度も
あくびがでてしまいます。
そして、かおりちゃんが一番多くあくびをしてしまうのは御法門の時です。

「ふわぁ」
かおりちゃんは見つからないように小さくあくびをしました。
お母さんに見つかったら「夜更かししたからでしょ」と怒られてしまいます。
隣に座っているおばあちゃんを見ると、ちゃんと御導師の方を見て、とても真剣に御法門を聞いています。
朝参詣が終わって御供養をいただいているとき、かおりちゃんはおばあちゃんに聞きました。

「おばあちゃんは御法門の時、眠たくならないの?」
おばあちゃんは小さいあくびを繰り返していたかおりちゃんを思い出すます。
「おばあちゃんはね、御法門を聴聞するのが好きだから眠たくならないんだよ」
「御法門が大好きなの?どうして?」
おばあちゃんの意外な答えに、かおりちゃんはビックリしています。

「例えばね、かおりがまだ言ったことのない遠い遠いところに車で行くとしたら何が必要だと思う?」
「えー、地図……かな?」
「そうよね、地図で目的地と現在地、それに順路を確認するわよね。だけど、いくら地図を見ても車を動かさないと目的地には行けないよね」

どうしておばあちゃんはこんな話をするんだろうと、かおりちゃんは不思議そうな顔をしています。
「これはたとえ話でね、私たち信者というのは車で遠い遠いところに旅をしている人みたいなものなの。地図というのは御法門で、車というのはその人の信心にあたるのよ」
「御法門が地図で、車が信心?」
「私たちの心はすぐに目的地を見失ったり、現在地が分からなくなってしまうのよ。だから、できるだけたくさん御法門を聞いて、自分の正しい目的地を常に確認して、信心の車を動かさないと目的地に着けないだけじゃなく、間違えた方向に行ってしまうんだよ」
「迷子になるってこと?」
おばあちゃんは小さく頷きます。
「おばあちゃんは、自分の目的地にちゃんと進んでいるかどうかが分かるから、御法門が大切で大好きなんだよ。それに、自分が今まで通ってきた道を他の人にも教えてあげられるしね」
「そっか。ねぇ、おばあちゃんの目的地ってどこ?」
にっこりと笑って、おばあちゃんは言いました。
「仏様のところだよ」
おばあちゃんお答えを聞いて、すごく遠い処なんだろうなぁと思ったかおりちゃんなのでした。

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